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朝のスタッフ会議

2010年9月11日

魚を焼く道具の研究

あるお客様から、「グリルで魚を焼きたくないので、ガスコンロで焼ける道具を紹介して下さい。」 今日は、グリルで焼くのが主流なのでしょうか。 しかし、お手入れが大変であることと、思ったように上手く焼けないと感じている方もいるようです。 グリルと言う閉じた空間だと、カラッと焼けないかもしれません。 肉でも魚でも本来は、食材からでてくる煙は、食材に付着させてはならない。 唯一、煙を調理に使えるのは、桜や樫などの木からでる煙を利用する燻製(くんせい)のみ。 焼き鳥屋でも、鰻屋でも、ウチワを扇いで煙を飛ばしているのは、そのような意味があるとのことでした。 ですから、グリルを使うなど、煙を閉じ込めるのは本来の焼き方ではないのかもしれません。 そこで、開かれた空間で焼く道具をご紹介します。 これこそ、日本人が昔から焼き継いできた、伝統の焼き方とも言えるでしょう。

さて、今回は4つの道具でアジを焼き比べてみました。 まずは、魚焼き器です。炎から離して、いわゆる遠火にして、網の上で焼くようなイメージです。 上の写真が一般的な昔ながらのセラミック魚焼き器です。なつかしく思う方もいるでしょう。 こちらは、実力派の道具でもあります。料理職人などは、こちらを選ばれます。 セラミック部分に熱をためこみ、炭火焼のようなソフトな焼き加減を実現できます。 しかし、煙を出してしまいます。 セラミック部分に沢山の穴が空いているのが分かりますか。 魚から出てくる脂が、この穴を貫通して、ガスの炎に触れてしまうのです。 炎に触れると、悪臭を伴う煙を出すのです。 ガスコンロの構造によっては、コンロを傷めてしまう要素もあります。 そこで、魚焼き器としては、以下の「カンダの焼き上手」をお勧めします。

もともと業務用の道具を作って来たカンダさんの商品ですから、一味も二味も違って来ます。 こちらにも穴はありますが、脂が穴の下に落ちない構造になっています。 本体は、アルスターというアルミと亜鉛の合金で、熱伝導が良く丈夫な素材を採用しています。 これが、右上写真のような三角形のアコーディオンのような形状になっています。 発熱する部分の表面積を広くして、魚を焦げ付かせないように、絶妙な遠火を実現しています。 この構造で、適度な熱が魚にあたるように工夫されています。それでも、火加減は、強火が基調となります。


「カンダの焼き上手」で焼いた魚です。

また、菜箸なども入れやすいので、魚を裏返すのも楽です。 網をよく予熱して、網の表面に油を塗ってから焼けば、くっつきもほぼ気にならないでしょう。 また、網を割と簡単に取り出すことができるので、お手入れもしやすいです。 この手の魚焼き器としては、比較的お手入れもしやすい方だと思います。 それでも、本体はかなり高温になり、脂が滴ると黒く焦げ付きますので、金属ブラシなどで磨くと良いでしょう。 なお、以下のグリルパンやフライパンで焼く時よりも、少なからず煙は出てしまいます。 もちろん、焼き餅などにも良いです。

「カンダ焼き上手(片手)」のご使用感が届いております。こちらをクリックしてください。

同じく、フランス製の溝のあるストウブのグリルパンです。こちらも煙は、ほとんど出ません。 琺瑯ですから、内部は鋳物鉄で、表面はガラス質。 電磁調理器にも対応しています。 やはり、鋳物鉄は丈夫で、空焼きにも耐えるたくましさを感じますが、とにかく重いです。 本格派商品で、末永く付き合えそうな雰囲気をもっています。 こちらは、ハンドルが着脱できるので、オーブンなどにも使用できるのも魅力でしょう。 また、ハンドルを本体側に折り畳んで収納できますので、場所をとりません。 注ぎ口も付いていますので、油返しなどもしやすいです。

ハンドルの着脱は、少々力が必要ですが、それほど手間でもありません。 皮などのこびり付きもありません。 なお、ルクルーゼやストウブのお鍋と同様に、本体の縁などは琺瑯が届いていない個所もありますので、 錆びが浮いたら磨いていただきます。 セラミックと同じように、お手入れ時は柔らかいスポンジが前提です。 こちらも、予熱後の火加減は弱火を順守して下さい。 ハンドルを手前にすると、溝の方向が水平方向でしたので、今回はハンドルを90度回した状態で焼きました。 商品によって溝の方向が違うのだと新たな発見でした。 板厚は、3.5〜3.8mmと厚くなっています。 確かに重くはなりますが、じっくり熱を蓄えて、しっかり焼ける印象があります。


「ストウブのグリルパン」で焼いた魚です。

そして、今回は、厚手の鉄フライパン、極 厚板フライパン26cmでも焼いてみました。 もちろん、こちらも煙がほとんど出ませんでした。 ただ、魚内部から生じる脂が、そのまま魚の表面につくので、茶色の焼き目が全体につく感じとなります。 どことなく、フライ風味と呼べるでしょうか。 魚焼きと言うよりも、フライパンという名称が相応しい出来上がりでした。 これは好みの問題かもしれません。 油返しをして焼きましたが、皮などのこびりつきはありませんでした。 そして、フライパン表面に焦げ付きが生じても、ゴシゴシ磨けるのも魅力です。 ただ、鉄の素材は内部への浸透性があり、魚の臭いなどは、付きやすいのかもしれません。 毎日のフライパンでも、それなりに焼ける手軽さが魅力でしょうか。 フライパンも、グリルパンと同様に、弱火で焼くのが基本です。


「極 厚板フライパン」で焼いた魚です。

それぞれの道具で火加減や焼き方が違ってきます。 また、魚の大きさや状態などによっても、焼く時間なども違ってくるものと思います。 焼き上手は、強火を必要としますが、グリルパンやフライパンなどは弱火でじっくりと焼いていただきます。 上記のような道具を使っていただけば、比較的煙などもたちこめないでしょう。 いろいろな道具で焼くよりも、まずは一つの道具で極めるような方向性が良いかもしれません。 また、火加減を守っていても、空いた空間など空焼き状態になりやすいので、 焦げ付きやすく、やはりお手入れはポイントだと思います。 空いた空間ができないように、2匹まとめて焼いたり、周囲に野菜を並べて焼くなども道具を傷めない方法かもしれません。 それでも、魚焼きに関しては、焦げ付きは伴いやすいので、 焼き上手や極 厚板フライパンのようなゴシゴシ磨ける道具には魅力があると思いました。

最近は、焼き魚をしない家庭も増えているのかもしれません。 若い世代ほど、その傾向が強い感じもいたします。 考えてみますと、オール電化ばやりの電磁調理器(IH)では、基本的に魚焼き器は使えません。 オール電化は、万能ではないと思います。 また、ガスコンロに温度センサーが付くと制約を受けます。 鍋底が250度の温度になると、自動的に消火されるしくみは、天ぷら鍋等には有効ですが、 魚焼き器や網焼きなどの一部の道具には不都合が生じるでしょう。 住宅面や安全面を優先させるあまりに、昔ながらの道具は消えてしまうのかもしれません。 これらを時代の流れとして片付けてしまってよいものでしょうか。 それは、味へのこだわりを反省する良い機会にも思えます。 夕食時の焼き魚の香り。それを遠い思い出にしても良いのでしょうか。 美味しい焼き魚にこだわるのが、本来の日本人だったのではないでしょうか。 焼き魚を家庭で味わえる価値を再考してみたいものです。 焼き魚は、日本の味、わが故郷の味ですから。

追記:こちらのイタリア生まれの魚焼き「ロブスト」も参照下さい。