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道具選びの眼

2012年7月26日

ブランドとは何か

私がブランドという言葉を聞いた時に、まず思か浮べるのは、ルイ・ヴィトンです。 そのルイ・ヴィトンジャパンを率いていた秦郷次郎(はたきょうじろう)さんの著書 「私的ブランド論」(日本経済新聞社)を今日読み返しています。 初版は10年前ですが、デフレ脱却の本質的な指針が秘められているように思うからです。 まず、価格競争について、秦さんは語ります。 「価格競争というのは、会社のなかの資源―たとえばビジネスにおけるクリエイティビティーを 浪費する戦いだと思います。たとえば、製品やサービスの向上など、そうした駆け引きよりもほかに、 もっとエネルギーや資源を注ぐ込むべきもの、クリエイティビティーを 発揮すべきものがあるのではないでしょうか。」 クリエイティビティーとは創造性です。今となっては、共感をいただけるのかもしれませんが、 すでに10年以上前から、このような考え方をお持ちでした。 「価格競争という駆け引きにエネルギーを費やすのではなく、本当に売るということ― お客様との対話のなかから、お客様が必要としていることや、求めていることにのみ集中することが 大切だと考えています。」ここで、「本当に売る」という表現を使われています。 ルイ・ヴィトンが考える価格政策は、「すべてのお客様に、同じ価格で提供する」ことであると。 そして、こう言い切ります。「ルイ・ヴィトンは、これまで約150年という長い歴史のなかで、 一回もセールやディスカウントをしたことがありません。」

これは、小売業に身を置く私の経験からも、物凄いことだと感じます。 それが実現できたのは、強い商品力があることはもちろんですが、 それを扱う会社の商品への強い思い入れがあるゆえだと思います。 秦さんの言葉では、それを「パッション」と表現しています。 「ルイ・ヴィトンの何が他の会社と違うのかと聞かれたとき、 私は迷わず『それはパッション(情熱)だ』と答えます。 『社員一人ひとりが持つ、商品に対する情熱、ブランドに対する情熱が違う』と言っています。」 それは、当社筋のキッチン用品のブランドの販売実態からも分かります。 皆さんも、じっくり商品市場を観察されてみて下さい。 インターネット上でも、正規販売店ルートで大幅にディスカントしている ブランドがあれば、かたや価格が乱れないブランドもあります。その違いは如何。 ある意味では、ディスカウントされているか否かで、会社の姿勢が見えてくるのです。 それを指標にして、ブランドを判断しても、大方間違いはないと思います。 ディスカウントされていないブランドは、商品に対しての強い思い入れを持っているのです。 それは、強い意志と言っても良いかもしれません。 私たちのような小売店との販売契約でも、価格政策での考え方を共有して 取引をさせていただきますので、その契約を履行する強い意思があるとも言えます。 強い意志というよりも、契約を前提にすれば、誠実さと言った方が相応かもしれません。 やはり、その会社の人たちは、ご自分の会社の商品に対して誇りと自信を持っています。 その姿は清々しいものです。

そして、そのような会社は、単に価格だけではなく、「本当に売る」ことに集中していますので、 より確かな商品開発が行われ、品質が維持されて、アフターサービス等も充実して参ります。 そこにブランドの価値が生まれて、結果としては、消費者利益につながります。 ところが、インターネット販売が定着して来た昨今は、価格競争を是とする風潮が強くなります。 デフレ化で、商品単価が下落していけば、正規の価格を守って販売することは、 ますます困難な状況に至るでしょう。 例えば、メーカーや小売店の経営状況が厳しくなると、一時的な売上が必要となるなどの状況が生まれます。 そんな時に、当座の売上を確保するために、ディスカウントして販売することを許容してしまう。 しかし、それは一度手につけてしまうと、もう後に引けなくなります。 一時的と思っていたのが、いつの間にか、あれよあれよと長引いて常態化してしまう。 このような状況下では、ルイ・ヴィトンのような価格政策を貫徹することは至難なことかもしれません。 しかし、ルイ・ヴィトンと同じ政策を掲げて、それを堅持している会社が、当社の業界にも存在いたします。 その一つが、チェリーテラスさんです。その代表ブランドが、 バーミックスクリステルです。 チェリーテラスさんと当社のお付き合いも10年以上となりますが、 その当初から価格政策はしっかりとお持ちで、今日までそれを守っておられます。 裏を返せば、それほど商品への強い思い入れをもって販売されて来た会社なのだと言えます。

最後に、秦さんは、ブランドを語る上で、「9.9」というキーワードをあげていました。 それは、資生堂の福原義春社長(当時)がルイ・ヴィトンの工場を視察した時のコメントに由来します。 「ものの価値というのは、100メートルを10秒で走っている人と、9秒9で走っている人は、 0.1秒しか違わない。だけど、その0.1秒で1位とか2位になるわけで、最後のわずかなところで 非常に増大するのだ。」 ほんのわずかな違いが、大きな違いとなる。 ほんのわずかな細部にこだわるのが、本物のブランドだと。 かたや、最近の国内メーカーは、ほんのわずかな違いにはこだわらず、 価格とともに品質を落とすことを選択してしまっているようです。 合理的と言えば聞こえは良いのですが、職人魂は何処へ。 その点では、消費者も見る目を養っていただき、単にリーズナブルで選択するのではなく、 価値ある品には投資を惜しまないことも必要でしょう。 それが、物作りの伝統を守っていくことにつながります。 かたや、先日実店舗にご来店のお客様から教えていただきました。 「私はディスカウントで、このブランドの商品を買いたくありません。 きちんとしたお店で、きちんとした価格で買って、それを家内にプレゼントしたいのです。」 ここにこそ、ブランドの本質があり、小売店はそれに応えなければならないと襟を正されました。 まず、小売店が、メーカーと同じ熱きパッションを持ち、 そして、「9.9」の価値を自分の言葉で伝えることができる。 もしかしたら、小売店の思い入れの乏しさが、今日の価格競争とデフレを招いてしまっているのかもしれません。 小売店は商品に惚れこんでいるのか?まず、自らに問いかけます。

ブランドとは何か 続編