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美味しさの科学

2012年8月11日

キャベツの千切りをとことん試す

ある新聞社の記者が、「キャベツの千切り」を取材していて当社に電話が入りました。 記者はネット上の情報より、リバーライト社長でお料理道具研究家の岡山晄生(あきお)さんに直接お会いしたい様子でした。 先週、その記事が出来上がったようで、新聞に掲載されていました。 「とことん試します」というコーナーで、右の様な書き出しでした。 「店で食べるものは細くてシャキシャキした歯ごたえなのに、家庭ではなかなかうまくできない。 料理が苦手な記者がおいしい千切りを作る方法を試してみた。」

私なりに、この記事を読んで、これぞ主体的に考えて行動するお料理のお手本だとも思いました。 この記者に学ぶべしです。 お料理こそ、今回のように「とことん試す」ことが大切です。 ところが、とことんできず、中途半端で終わってしまう。 それは今日お料理だけに関わらず、家事全般でも、仕事でも同じ状況かもしれません。 記事作りも同じでしょう。

最近の新聞や雑誌の記事などは、できるだけ時間をかけずに、 現場取材もせずに、電話やネット情報だけで、単に受け売りの言葉を並べるのみ。 いつしか読み物は、真実味が希薄となり、読んでも残らない。すなわち、伝わらないのです。 事実を伝えることは、読み手の読み方も重要ですが、伝え手の伝え方がまず問われています。 その意味でも、今回の記事は、少なくとも私には伝わって参りました。 興味のある方は、日本経済新聞2012年8月4日(土) NIKKEI PLUS1掲載記事を読まれて下さい。

グローバル菜切土佐龍一枚板まな板で私も挑戦

記者は、まず自分の足を使って、お料理道具研究家の岡山さんを訪ねます。 岡山さんは、そこで記者に適切なアドバイスをされました。 「同じ野菜でも切り方で味わいが全く変わります。」 それを受けて、「スパッと切るほど野菜のうまみは外に逃げず、口当たりも柔らかくなるという。」 記者は、記者らしく、まず本質をきちんととらえます。

すると、記者は「指を切るのが怖くて包丁はしばらく研いではいない」 率直な物言いは良いのですが、間髪をいれず、岡山さんは「出発点が間違っている。」 岡山さんらしい回答だと思いましたが、ここで記者は、その助言を素直に受け止めたようです。 そして、岡山さんとのやりとりは、ここで終了します。 どうやら、岡山さんは具体的な切り方は指導されなかったようです。 あとは、ご自分で考えてみなさいと、ある意味で突き放したのかもしれません。 そこで記者は、新しい包丁を購入されて、再度試してみる。

今度は、東京上野の豚カツ店・井泉を訪ねます。 「シャキシャキ感を出すカギを握るのは、水にさらす温度と時間」をつきとめます。 しかも、ご自分が切ったものを容器に入れて評価してもらった。 すると、「これは、ひどい出来ですね。これでは冷水にさらしてもおいしくなりません。」 幅が4ミリ以上で、長さは不揃いだった。 ここでも記者は、「軽くショックを受けた」程度で、自分の感情を入れず、その言葉を前向きに受け止めます。 これぞ、真相に迫る記者魂なのかもしれません。

今度は、東京新宿の江上料理学院を訪ねます。 「葉や葉脈に対して直角に切る。繊維を断ち切って歯ごたえを柔らかくする。」 このポイントから始めて、基礎的な切り方を習得します。 そして、料理学院で教えてもらった「上達するには練習あるのみ」を思い出しながら、 一日に6玉を刻む日々が続くそうです。 「後半になるとイライラが募り、切り方が雑になる」から 「疲れは出るが、だんだん慣れるもの」は経験者からしか出てこない言葉でしょう。

さらに、今度は、東京銀座の洋食店・煉瓦(れんが)亭を訪れます。 そこで、プロの技を間近に見る。 記者が、キャベツ半玉分を、ようやく25〜30分で切れるようになったのに対して、 職人はものの見事に5分で切ってしまう。しかも、1〜2ミリの幅。 それに刺激を得て、さらに修業を積みます。 すると、18分程度で切れるようになり、直言してくれた豚カツ店に再び出掛けます。 とうとう、「家庭で出すには合格!」とお墨付きをもらうに至る。

このような顛末は面白いですね。 とことん試す。そこに美味しさは待っています。 最後の「記者のつぶやき」には、「幼い子どものために産地直送のこだわり野菜を取り寄せようと していたが、正しい切り方を知らなければ、おいしいものも生きないと分かった。」 そして、キャベツ好きのご主人のお陰だと、ご主人への感謝を最後にしています。

私なりに、記者はこの記事を通じて、多くの大切なことを学ばれたように思いました。 同じく、読め手の私も多くを学びました。 ただ、一つ気になったのは、新しい包丁を購入されたことです。 これを機会に包丁の研ぎにも挑まれればと思いました。とことん試す。 お料理の本質を呼び覚ましてくれる、保存しておきたいほどの記事でした。