逆縁の吾子
八十五で逝去されたお隣のおじさん。 すでに五カ月が過ぎ去った今日、おばさんが俳誌を届けてくれました。 おじさんが俳句を詠むことをはじめて知り、おじさんの特集が組まれていました。 おじさんは、四十三のご長男に先立たれます。 五十句が並んだ中で、私の心に留まった句です。 「二人して亡き子を語るクリスマス」 「逆縁の吾子二人して墓洗う」 「金婚の妻と二人の雑煮膳」 「二人居の会話途切れる冬の夜」 「寄り合ってまた離れゆく水すまし」 そこには、夫婦で支え合う美しい姿とともに、それを越えた人の孤独が感じられます。 そして、辞世の句は「ラストワードさがし求めて冬の星」 俳誌の主宰者がおじさんを讃えていました。 「真底、心のあたたかい人であった。相手の心の領域に、無断で踏み込むことは、決してなかった。 中国の荘子は、〈君子の交わりは淡きこと水の如し〉と言った。 君子の交際は、水のようにあっさりとしているが、それ故に長続きするという意味である。」 それでも、今となっては、もっと色濃い交流をと悔やまれます。
2015/03/28





