戸倉のおばさん
親戚のおばさんが急逝されて、長野県の戸倉まで告別式に出掛けました。 名古屋から特急しなのに乗車。 信濃路は、ちょうど桜の花が盛りを迎え、桃の赤い花もあちらこちらに。 告別式の後に、三十年ぶりにおばさんのお宅を訪れます。 小学生のころ、祖父と一泊させてもらったことがありました。 そこに、タローという犬がいたこと。 すでに他界された警察官のおじさんの遺影が飾ってあったこと。 かくしゃくとしたおばさんが、しゃきしゃきと、もてなしてくれました。 時を越えて、同じお宅に着きました。 車から降りると、ほのかな甘い香りを感じます。 玄関先に植わる木に、ちょうど白く可憐な花が咲いていたのです。 それは、梨の花で、時季が来ると甘い実をつけるのだそうです。 ふと、ありし日のおばさんと、梨の花が重なりました。 優しく微笑んでいる。「母は逝く 甘き笑みする 白き花」 ご家族に一句残して去りました。 帰りの電車では、信濃路をずっと付き添ってくれた月を眺めていました。 「逝きし時 梨咲きぬれば思い出づ 月いよいよと優しく光れり」
2010/04/27





