藤原てい親子
この夏読んだのが藤原ていさんの「流れる星は生きている」です。 満州から日本に引き揚げる母子の記録。 母親のていさんは、女手一つで乳飲み子を含めた3人の子供を引き連れます。 強盗、流行病に栄養失調、道中何度も死線をさまよいます。 同行する仲間内の人間模様は、時には冷酷極まりないものです。 人間の変わり身の早さに、これが現実だなあと妙に納得したりしました。 生身の人間の姿は、このような時にこそ表出します。 かたや、それを悔やんだり、嘆いたりできるのは、人間の美しい側面のようにも思います。 ていさんの筆致は、何も隠さず、自分の思ったままをぶつけています。 本質を直視することで、人間は人間として再出発できるのかもしれません。 幸いに、ていさん母子はみな帰還。 当時3歳の次男は、この時代に「日本人の誇り」を上梓する数学者の藤原正彦さんです。 その書では、生き抜いた人の責任感や使命感なるものを感じます。 成長した正彦ちゃんの率直な物言いは、ていさん譲りだとも思いました。
2011/09/01





