江崎邦助巡査夫妻
隣町の田原市で警察官の125回忌が執り行われました。 そこには、忘れられない、いや忘れてはならない事跡がありました。 125年前に、田原の街に、伝染病のコレラが発生します。 医師とともに、防疫に務めていた江崎邦助(くにすけ)巡査は、 自分が感染したことを人力車の中で自覚します。 もはや、車中では耐えられず、道から離れた林の中で横になります。 駆けつけた医師がコレラと診断すると、 「自分はとうてい助かる見込みはない。 今自分が田原の市街地に入ったら、住民は恐怖にして極度の人心不安を引き起こし、治安の混乱となる。 警察官の自分が民衆を保護し、公共福祉のため公務に倒れるのは本望である。」 壊れかけた小屋に移ると、新婚早々だった十九歳の妻は、すでに心を定めていました。 「みなさんはお帰り下さい。」命がけの看護が始まります。 しかし、その甲斐もなく、病魔との格闘の末、巡査は命を落とします。 後を追うかのように、同じ小屋で、新妻もひとり逝く。 生きるとは、かくあるべし。夫婦とは、かくあるべし。
2010/06/28





