清掃する元店主
喫茶店で新聞を読んでいるおじさんがいます。 おじさんは、老舗飲食店の元店主ですが、数年前に余命いくばくもない癌の宣告を受けたそうです。 おじさんのお店にいくと、いつもカウンターで采配を振るっていたのが懐かしいです。 今は、お店では見かけなくなりましたが、近くの喫茶店でお会いできるのです。 しかも、おじさんの血色はよく、大変元気そうです。 近くの席に座って声を掛けると、お店は娘さん夫婦に引き継いで、「裏方で毎日掃除をしているよ。」 床は拭き掃除までするそうです。 汗が出るまで、ハードに動いているご様子。 巡回する消毒業者からは、この地域では一二を争う綺麗なお店だと 太鼓判を押してくれたと嬉しそうに話してくれました。 「掃除は、手を抜くこともできるが、極めれば奥が深いね。」 その奥深さは、人間の心身のあり方にも及ぶようです。 おじさんは、病を通じて、掃除の奥義を極めたように感じました。 「今年も年を越せそうですね。」 にんまりしたおじさんとの会話が弾む夕暮れ時の喫茶店でした。
2015/11/27





