風に吹かれて
ボブ・デュランの代表曲は「風に吹かれて」と言われますが、 彼の文学的な感性は、風と関係があるのかもしれません。 宮沢賢治も「風の又三郎」をはじめ、風をモチーフとしています。 宗教学者の山折哲雄さんは、「注文の多い料理店」は風が吹いて始まって、 風が吹いて終わると指摘しています。 風が吹くとは、人間の愚かさと無力さを暴いているようです。 「風に吹かれて」では、「その答えは、風に吹かれて何処かに行ってしまった。」 すなわち、答えなど所詮ないのだと。 当時21歳だった彼は語っています。 「世の中で一番の悪党は、間違っているものを見て、それが間違っていると 頭でわかっていても、目を背けるやつだ。」 そんな大人たちへのプロテストソングにも聞こえます。 それは、虚勢を張ることではなく、現実をありのまま受け入れる、人間に対する諦めであるのでしょう。 しかし、そこでとどまらず、思いのままに吹く大きなものを悟る瞬間です。 帆船がその身を任せるごとく、風吹くところに希望はあり、信じることの門が見えて来ます。
2016/10/15





