加熱講座1 なぜ加熱をするのか
お料理を美味しく作りたい。そのためには、まず加熱を学んでみて下さい。 お料理の本質は、食材に熱を入れること、加熱することとも言えます。 そのために開発製造された道具が、鍋やフライパンとなります。 ですから、加熱の仕組みが分かると、どのような鍋やフライパンを選べば良いのかが見えてきます。 また、その適切な使い方が分かり、それが美味しさにつながります。 少々難しい印象の加熱を、できるだけ易しく解説して参ります。

まず、どうして加熱するのか。日本人なら、お米を考えると良いでしょう。 お米は、加熱しないと消化が悪く、栄養もほとんどありません。 水を加えて、加熱をすることによって、お米の澱粉が膨らんで粘りがでます。 この状態になって、消化しやすく栄養価も上がるのです。 すると、食べやすく美味しくなります。 さらに、加熱によって衛生的、安全になります。食材中の細菌を死滅させることができるのです。
さて、加熱するとは、食材の温度を上げることですが、そこには、ちょうど良い温度、適温があります。 しかも、加熱する時間も重要です。 食材ごとに、これらが違います。ここで、水を媒介とする調理、炊く、煮る、蒸す、茹でる、沸かす調理には、上限温度があります。 水の沸騰する温度が100度です。そのため、100度よりも温度は上がりません。 水が温度制御をしてくれるので、焦げる等の失敗は、ほぼありません。
かたや、主にフライパンを使う、焼く、炒める、揚げると言った調理は、100度を越えます。 そこで、水を媒介とする調理を湿熱(しつねつ)調理と呼ぶの対して、水を媒介としない調理を乾熱(かんねつ)調理と呼んで区別をします。 乾熱調理は、食材の表面を160~180度の温度領域にして調理します。 この温度になると、香ばしい香りが生まれて、こんがりと綺麗な焼き目が付きます。 すなわち、食材を美味しくするために加熱をいたします。