加熱講座5 オーブンと電子レンジ
オーブンは、基本的に赤外線の放射で、食材に熱を伝えます。 そして、庫内温度を設定できる機能が付属され、温度を一定に保つように出来ています。 さらに、コンベンクションオーブンであれば、ファンが付いて庫内の空気を循環させます。 コンベクションとは、対流の意味で、文字通り、空気の対流によって熱を伝えます。 オーブンは、放射と対流で熱を伝えているのです。 加えて、天板を使えば、温められた天板から伝導する熱もあるでしょう。
かたや、電子レンジは、伝導、対流、放射とは違った、新たな熱の伝わり方となります。 この電子レンジからは、マイクロ波と呼ばれる電磁波が照射されます。 この電磁波が、食材に吸収されて、食材内部の水分子を振動させて発熱させる仕組みです。 熱とは、分子が動いている状態です。マイクロ波の周波数は、2450メガヘルツ。 電波を受けた水分子は、1秒間に24億5000万回も振動することになります。 そして、マイクロ波は、食材の表面ではなく内部に浸透します。

マイクロ波が瞬時に食材表面から数cm内部まで浸透するため、食材に早く熱を伝えることができます。 これが、電子レンジの最大の特徴です。 ここで加熱時間には注意が必要です。 加熱時間は、食材の量にほぼ比例します。量が倍になれば、時間も倍弱になります。 そのため、電子レンジは少人数分の量には重宝ですが、量が多くなると時間がかかるのです。 そこで、食材を小さく切る、小分けして使うなど工夫すると良いでしょう。
さて、早く加熱できることが、美味しくなるとは限りません。 例えば、石焼き芋ですが、ゆっくりと石からの伝導加熱で温めることで甘みが生じます。 これは、酵素が働き、でんぷんから糖が生成されるためですが、急激な加熱では酵素反応が進みません。 あるいは、電子レンジでは加熱むらが生じて、硬化現象がもたらされます。 中華まんやパンなどは、一時的にふっくらしますが、時間が経つと硬まってしまうのです。 このようにデメリットも考慮しながら加熱をします。