お手入れ編 12 シャープナーと砥石の違い
基本的にシャープナーは砥ぐのではなく、刃先を荒らすと言えます。包丁の刃(切り刃とも呼びます。)は2段階に分けることができます。刃の全体は高さ約 5mm 〜 15mm 程度としたら、その刃先の先端部分の小刃と呼ばれるところは、約 0.1mm 〜 1.0mm 以下です。シャープナーは全体ではなく、この先端部分を荒らします。そのため、ノコギリ状のギザギザとなり、食材にひっかかりやすくなり、一時的な切れ味の回復につながります。

ただ、あくまで先端部分を荒らすだけであるため、当初のような鋭角な先端は形成されていません。そのため、シャープナーでの砥ぎを何回か繰り返せば、先端部分は摩耗してなくなりますので、シャープナーの部材が当たらなくなります。ですから、砥石での砥ぎ等と併用しながら、鋭角な先端、すなわち本来の刃を再生させる必要があります。また、砥石での砥ぎに比べて、その切れ味は持続しないため、切れなくなった時の緊急用途に相応しいです。
かたや、砥石での砥ぎの場合、刃は先端部分だけではなく全体が削がれて、両刃であれば綺麗な楔形の刃となります。この状態が本来の刃であり、刃は安定します。すなわち摩耗しにくくなり刃持ちがよくなります。砥ぎを必要とするまでの期間が長くなる。これを長切れすると表現します。さらに、刃の先端には、シャープナーとは違った理想的なノコギリ状のギザギザが均等に形成されます。荒らすのではなく整います。切れ味も格段に良くなります。

家庭用では中砥石(1000番)一つで十分な切れ味となります。さらに仕上げ砥石(6000番)を使えば、先端部分のギザギザが微細となって、切った断面は傷つかず、さらに刃持ちもよくなります。刺身を切る時は、仕上げ砥石で仕上げた包丁がおすすめです。なお、刃こぼれを矯正するには、荒砥石(300番)を使います。このように砥石は粒度および番手によって使い分けることができます。番手の数が大きいほど粒度は細かくなります。
加えて、砥石での砥ぎは、砥ぐ時の角度によって、刃先を鋭くしたり鈍くしたりと調整ができます。砥ぐ時に包丁を少し立てれば鋭角となり、切れ味はよくなるのですが、刃先が薄くなることで刃こぼれがしやすくなります。かたや、寝かせて砥ぐと、鈍角となり切れ味は少し劣りますが、刃先は厚いので刃持ちは良くなります。

これらのことを頭に入れて頂くと、どのように研いだら良いのか、あるいはシャープナーとの使い分けも見えて参ります。ご自分に相応しい砥石あるいはシャープナーを見つけて、上手に使い分けて下さい。
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