序章 フライパン販売の現場で
私は、愛知県豊橋市の駅前商店街にある金物屋の長男として生まれて、今日その店を引き継ぐ四代目です。 子供のころは、1階に店舗、2階に倉庫、3階は学校の調理室のような空間で、料理教室を開催していて、いつも周りは料理道具に囲まれて育ちました。 大学を卒業して、この店で働くようになった時期は、郊外に大型店が進出して、駅前商店街から客足が遠のいていました。 そんな中で、ホームページを新たに立ち上げて、ネット通販でフライパンの販売をはじめました。

そのネット通販の店名は、実店舗とは別に「フライパン倶楽部」としましたが、「フライパン」のキーワードで当店が上位に表示されるようになります。 ちょうどそのころ、フライパンを専業とするメーカーのリバーライトとの出会いがありました。 アメリカのヒッピーたちが、自由な発想でデザインした木柄の鉄製フライパンを販売することになります。 その中でも、板厚が一般的なものの2倍ある重いフライパンがホームページ上で売れ始めたのです。
それは、美味しくなる理屈とあわせて、ユーザーの声を掲載した売り方でした。 ネット通販とは、単に安く購入できるツールだけではなく、しっかりと科学的な説明ができるツールでもあったのです。 そこで、自分でも実際に使いながら、美味しくなる理論や科学まで研究するようになっていました。 厚み、重さには理由があり、熱がむらなく伝わり、食材の芯にまで熱を届けることできる。 しかも、次々と届くユーザーの声の多くは、美味しくできたと感激の声でした。
このようにフライパンと向き合うことで、その世界の奥深さに気づいて参りました。 それは、人類の誕生から始まる壮大なスケールのものであり、生きていく上でのベースとなる思想的なものにまで至ります。 すると、フライパンは人生の教師にも思えて参りました。 そこで、そのフライパンの声なき教えを、私の販売体験より言語化させて頂くとともに、美味しくなるフライパンの扱い方を私の言葉でご紹介いたします。 今日もフライパンは、あなたが料理するのを待っています。




