フライパンや炒め鍋は昔から鉄製のものが選ばれて来ました。 今日でも、中華料理の職人など業務用の世界では鉄製のものが愛用されています。 中華料理だけではなく、ステーキや餃子、焼きそばやお好み焼きも職人たちの多くは鉄製を選んでいます。 どうして、鉄製が選ばれるのか。
まずは、美味しく調理できます。 その理由は、油の馴染みが良いからです。 鉄の表面には、ミクロン単位の多数の孔(小さな穴)が形成されています。 そこで油をしっかりと抱き込み、加熱すると鍋の表面が薄い油膜で覆われます。 その結果、投入した食材の表面全体が、油と触れるので焼きむらがなくなり、 こんがりと焼けるのです。加えて、食材に向けてダイレクトに熱を伝えることができるので、 炒め物はシャキッと仕上がります。
美味しいばかりか、必須栄養素の一つであり、血液を作る鉄分を摂取できます。 貧血などの症状を起こしやすくなったのも、鉄分不足が一つの原因ともされます。 以前は、鉄製フライパンや鉄瓶が常用されていましたので、自然と鉄分が摂取できていました。 その点で、改めて鉄製の調理器具が見直されています。 レバーなどの肉からも摂取できますが、毎日のフライパン調理を通じて、 無理なく自然に摂取できるのは魅力です。
そして、鉄製フライパンは、焦げ付いた時のお手入れが楽になります。 フライパンは高温状態(100度以上)で調理するため、焦げ付かせてしまうことが想定されます。 そんな時、鉄製フライパンであれば、ゴシゴシとナイロンタワシ等で磨いて 手軽に落とすことができます。 また、鉄製フライパンは丈夫であるために、少々手荒く使っても問題はありません。 焼いたり炒めたりという高温下で調理する道具として相応しいです。
一般の鉄製フライパンですと、錆び止め塗装が表面に施されていますので、 使いはじめに空焼き作業をして、錆び止め塗装を焼き切っていただきます。 また、使用後のお手入れで、汚れを除去した後に、錆び止めも兼ねて内面に油を薄く塗布いただきます。 ところが、錆びにくい極JAPANシリーズ等が 登場しています。そのため、空焼き作業の必要はないので、油慣らしをして、すぐにご利用いただけて、 油の塗布なしでも錆びる心配はありません。
最後に、鉄製フライパンは末永く使用できます。 加工フライパン等は、火加減やお手入れを誤ると表面が劣化してしまい、 使いはじめのコンディションを保つことができなくなります。 その点、鉄製のフライパンは、使うごとに油の馴染み具合が良くなり、上手に使用いただけば一生ものです。 それは、物を大切にすること、食材や資源を大切にすることにもつながります。 加えて、人を大切にすること、丁寧な料理、美味しい料理にもつながって行くようにも思います。
鉄製のものは、多層ステンレス製のものに比べて良心的な価格であり、 フッ素樹脂加工のものと比べても使える年数を考慮すれば、お値ごろです。 極JAPANフライパン26cmであれば、7,700円(税込)で10年は使えますが、 2,000円(税込)のフライパンを2年ごとに買い替えていたら、10年で10,000円となります。 また、適正な火加減のもとでは、熱の通りがよく、保温力もありますので、基本的に 中火以下の火加減で調理ができます。その点でも省エネともなります。