いつか自分の娘に会わせたいと思う女性の一人が井手櫻子さんです。
その井手さんが2014年に「バーミックスのある暮らし」(幻冬舎)を上梓されました。
専業主婦だった井手さんが、バーミックスを
はじめとする家庭用調理道具の販売会社を興したのが1983年。
それから38年の歳月を経て、今日は社長を退かれ会長のお立場にあります。
こちらの本では、バーミックスという一つの道具を通じて、いろいろな方々との出会いの物語が綴られています。
私もバーミックスを通じて、井手さんとお会いできたものの一人として大変光栄に思っています。
道具を通じて、人と人とが繋がり、絆が深められることが分かります。
しかも、バーミックスの使い方まで、しっかりと把握できてしまう心温まる実用的な本です。
「バーミックスのある暮らし」(井手櫻子著・幻冬舎)
まずは、料理研究家の阿部なをさんに教えていただいたフレッシュミックスから始まります。
腸を整える栄養バランスの良い朝食がどのようにして生まれたのか。
「青い野菜は血になる。」「自分の健康を守るのは青汁だ。」との思いをもった阿部さんから
「続けていけば、きっといいことがあるわよ。」井手さんの毎朝の習慣ともなります。
続いて、残り野菜をスープにする。そこには、料理研究家の有元葉子さんとの出会いがありました。
「冷蔵庫の残り野菜が、おいしくて栄養たっぷりのポタージュに変身。」
材料は最初から決めてかからず、その時にあるもので作っても美味しくできるとのこと。
「こんなに気軽にポタージュを作ろうと思えるのは、バーミックスがあるからこそなのですよ。」
そして、手作りマヨネーズ。料理教室に参加された学校の女性教師が、
家庭訪問の時に手作りマヨネーズを持参したところ、野菜嫌いの子が、その先生のマヨネーズで野菜好きになった。
そんな思い出は、子供の心にもずっと残ることでしょう。
加えて、そんな時は、おしゃれな空き瓶に入れてプレゼントをする提案もされています。
続いて、味噌作り。お仕事の仲間から「バーミックスでお味噌を作ると、とてもいい」
それから井手さんは味噌作り教室を始めます。
加えて、煮干し、かつお節、昆布をバーミックスで粉だしにします。
この粉だしなら、お湯に入れるだけで、だし汁が手早くできる。
さらに、この粉を味噌に混ぜてだんご状にしてラップにくるめば、外出先で即席味噌汁を楽しめる。
そして、ごまです。「これができるなら、こんな料理に使える、あれもできる・・・・と、
集まってくれた友人・知人みんなのひらめきで、どんどんメニューが増えていったのです。」
そんな時に、何度も使うことになったのが、ごまだったようです。
ひょんなことから、バーミックスでペースト状の練りゴマができることも発見します。
修理に感銘を受けたユーザーからの礼状で、この本は締められていました。
「一生ものとして使えるお品の価値を再確認いたしました。こんなに傷ませてしまってお恥ずかしいことでしたが、
今後は取り扱いには重々注意いたします。世の中がすべて使い捨てのような昨今ですが、
久々にとてもうれしい気持ちにさせていただきました。」
井手さんは、独立自尊のお手本であり、販売においても一貫したポリシーを貫かれました。
加えて、働きつつ暮らしを楽しまれていた。
ワーク・アンド・ライフ・バランスの視点では、今日の女性たちへの道標のようにも感じます。
それは、バーミックスからの贈物だったかもしれません。
ですから、バーミックスは、井手さんのような輝く女性を生み出す道具とも言えるでしょう。