まず、茹でると煮るの違いを考えてみます。
茹でるとは、熱を通して柔らかくしたり、アクを抜いたりと言った料理の下処理です。
対して煮るとは、味を付ける仕上げの作業となります。味付けが目的です。
そのため、煮るには調味料が付きものです。
ただ、茹でる場合でも、塩などを使うことがありますが、
それは味付けのためではなく、あくまで色止めなどのためです。
そこで、煮物に調味料を加える順序として、「サシスセ」と昔から言われています。
サは砂糖、シは塩、スは酢、セは醤油です。
はじめに、砂糖を入れます。それは、食材の中に塩をしみ込ませやすくするため。
そして、塩を入れるので、食材の中に塩が浸透して行きます。
次に、酢と醤油ですが、これらには香りがあります。
香りは、蒸発しやすいので、最後に加えます。
特に、醤油は、加える量の半分から三分の一くらいは、火を消す直前に入れて香りを生かします。
なお、濃口醤油は色が強く付きやすいため、薄口醤油を使うと良い場合もあります。
kaicoパスタ鍋のような深型鍋は、おでんやシチューの乳化を促進させます。
煮物の美味しさの秘訣は、食材を同じ大きさ、同じ厚さに切ること。
大きさが違うと、火の通り方にも違いが出て、
柔らかいもの硬いものが入り混じり、味にも濃淡が生じます。
そして、魚やイモ類を煮る時には、落とし蓋を役立てます。
これをかぶせることにより、上部にも、ほどよく味が染み込んで行きます。
蓋の重みで、具の動きを抑えることができるので煮崩れを防げます。
もう一つ、浅型の鍋を使うと、具が積み上がらず、綺麗に仕上がります。
煮魚の場合は、煮汁が沸騰してから、魚を入れます。
これは、魚の表面のタンパク質を硬めてしまうためです。それによって、魚の旨みが逃げません。
かたや、根菜類やイモ類、豆類などは、水から食材を入れて煮込みます。
そして、柔らかくなったら調味料を入れます。
最初から調味料を入れると、内部の水分が引き出されて、調味料の染み込み方が悪くなります。
かたや、豆類は、事前に調味液にしばらく浸し、調味液でよく膨らませてから煮ます。
おでんやシチューでは、時間をかけて煮込むことによって、味が丸くなります。
その時、深型の鍋であれば、気泡が鍋底から煮汁表面まで到達せずに、煮汁内で消滅します。
その消滅した時の高周波で、乳化が促進されます。乳化とは、水と油が一体になることです。
しかも、大きめの鍋で容量が多いと、煮汁の重みといいますか、水圧で気泡が消滅しやすくなります。
なお、強火では、気泡は蒸気となって逃げやすくなってしまうので、弱火で煮込みと良いです。